みなさんこんにちは(おはようでも、こんばんはでもいいよ)、ノミです。
今回は、私が初めて精神科に診察に行った時のこと、
そしてその際に診断された『気分変調性障害』について書いていきます。
診断基準上では、気分変調性障害も「うつ病」という病気として位置づけられていますが、内容としては差異があります。
聞き覚えのない病名だったので、まずは調べてみることから始まりました。(先生に勧められた本を読んでみた)
今回は、水島広子氏の『対人関係療法でなおす気分変調性障害』(創元社 2010年)を参考に記事を執筆していきたいと思います。
気分変調性障害の診断基準とは?チェックしてみよう
診断されてからネットをさまようと、「気分変調性障害」よりも「気分変調症」という名称のほうが強く定着しているようですね。
また、「うつ病」と比べると圧倒的に「気分変調性障害」の情報は少なめです。
気分変調性の特徴
・うつ病の一種
・うつ病「比較的短い経過をたどる」⇔気分変調性障害「長期であるため原因の特定が難しい」
・病気として位置づけられたのは1980年と割と最近
・慢性のうつ病である
気分変調性障害の診断基準は?
アメリカ精神医学会の診断基準(DSMーIVーTR)には、「気分変調性障害」の診断基準が次のように記されています。
(1)憂うつな気分がほとんど一日中存在し、少なくとも二年間続いている。憂うつな気分がない日があっても、憂うつな気分がある日の方が多い(子どもや青年の場合は、いらだたしさとして感じられることもあり、期間は最低一年間続いている)。
(2)憂うつな気分のときには、次のうち二つ以上が存在すること。
・食欲減退、あるいは過食
・不眠、あるいは睡眠障害
・気力の低下、または疲労感
・自尊心の低下
・集中力の低下、または決断困難
・絶望感
※注1
水島氏はこれを踏まえて次のように述べています。
気分変調性障害は、たしかにそのときのうつ病の症状だけを見れば、大うつ病よりも「軽い」と言えます。たとえば、大うつ病の人が、ものをほとんど食べられなくなって短期間にやせてしまうのと比べれば、気分変調性障害の人はとりあえず生き延びるくらいには食べられるのがふつうですので、それだけを単純比較すれば「軽い」ということになるでしょう。
※注2
ただ、実際の生活を見てみると、「気分変調性障害の人の方が、大うつ病の人よりも障害度が高い」ということをデータをもって示しています。
気分変調性障害の「重さ」は、症状そのものにあるというよりも、人間として生きていくための基本的な機能にどれほどのダメージを与えるか、というところにあるのです。(中略)本当の現実に対処する能力を育てる機会が奪われてきたということになります。
※注3
このような気分変調性障害の特徴を考慮して、新しい診断基準の代案が提案されています。
気分変調性障害の診断基準、新しい代案
先程紹介した診断基準(2)の代案が次の内容です。
憂うつな気分のときには、以下のうち三つ以上が存在すること。
・低い自尊心または自信、または自分が不適切であるという感じ
・悲観主義、絶望、または希望のなさ
・全般的な興味または喜びの喪失
・社会的引きこもり
・慢性の倦怠感または疲労感
・罪悪感、過去のことをくよくよ考える
・いらいらしているという主観的感覚、または過度の怒り
・低下した活動性、効率、または生産性
・集中力低下、記憶力低下、または決断困難に反映される思考困難
※注4

②代案(上記の黄色かっこ内)の中で3つ以上にあてはまる
この2つが主な診断基準になるんやね。
【引用文献】
※(注1)~(注4) 水島広子『対人関係療法でなおす気分変調性障害』(創元社 2010年)
気分変調性障害は「軽いうつ病」ではない
気分変調性障害の方は、「一般には、勤勉な働き者」になると水島氏は述べています。
「自分には価値がない」と思っているゆえ、その「だめさ」に気づかれないように重労働をする傾向があります。
他にも、
・何かを達成した時も「たまたま」だと感じてしまう
・評価を恐れている
・本当の自分を知ったら人は自分のことを嫌いになるだろうと思う
・対人関係を避け、引きこもる傾向がある
・人とうまく付き合えない自分に絶望と寂しさを感じている
などの特徴があります。
ただ、気分変調性障害のつらいところは、これらが「性格の問題」だと認識されてしまうところにあります。
「病気の症状」だと認識していれば治療に専念できますし、ものの捉え方も変わってきます。
しかし、気分変調性障害の方は「自分の欠陥にもとづくものだ」と解釈してしまいます。
そのため、人生そのものを損なってしまう可能性があるのです。
大うつ病とどちらが重いかということではなく、両者は本質的な違いがあります。
気分変調性障害は「軽いうつ病」ではないことが分かります。
初めて精神科に行った時のこと
正直、「眠れない」とか「手が震える」という症状はあったものの、

という気持ちが強かったです。
「しんどい」という思いも、そんなのみんな同じだもんな…と感じていたし(それゆえバイトも続けていたし)、診察しにいくことに罪悪感がありました。
気づけば、「自分には忍耐力がないからだ」「これは甘えなのかも」という思考でいっぱいになり、この状況を話すことができるか心配になってきました。
でも、先生は1から全部聞いてくださいました。
気づけば診察室で嗚咽をもらしていて、机に置いてあったちり紙を手に取りました。
足元にはゴミ箱。
「不安なひとがここで気持ちを打ち明けて、たくさん泣いていったんだろうな」
ちんまりと積もったチリ紙をみて、ぼんやりそんなことを考えていました。
大学の時のこと、高校の時のこと、中学生、小学生…というように、少しずつ遡りながら話し、
「ずっとしんどかったですね。がんばってきましたね」
先生はそう言った後、「それは病気の症状なんですよ」とひとこと。
自分の性格のせいだ、自分は欠陥品だと思ってきたことが、病気によるものであったこと。
ずっとずっと悩んできたものが少しだけ軽くなった瞬間でもありました。
もちろんその後は治療が待っているし、現状ががらりと変わるわけではなかったのですが、自分が何の病気であるか分かると対処の方法も分かってくるので知ることができてよかったです。
まとめ
今回は「気分変調性障害」にフォーカスをあてていきました。
抑うつ状態が2年以上続いているという方や、上記の診断基準に当てはまる方は、気分変調性障害の可能性もあります。
今回は、病気の特徴を中心に書いていったのですが、ご紹介した書籍には、
・どのように乗り越えるか
・実際の気分変調性障害患者さんの例(短い体験談のようになっていて読みやすいです)
・周りの方がどう接していくべきか
が詳しく書かれています。
個人的に「気分変調性障害」に特化した書籍は少なく、また、ネット内の情報もあっさりしているものが多いです。
それに対して、この書籍は自分の病気を知るうえでとても役に立った1冊でもあります。
(めっちゃ読み込んで、ひとりで「わかるう~~~!!」ってなってた)
興味を持った方はぜひお手に取ってみてくださいね。
それでは、また!

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